「シェリー」
「なんですか、ジェラルド様」
「私は君が好きだ」
「え?」
「君の事を最初は呪いを受けた同じかわいそうな子って思ってたこともあった。けど、今は違う。はっきりと言える。君のことが一番大事だ」
「ジェラルド様」

 二人は自然と手を繋ぎ、そしてそっと唇を寄せ合う。
 こんな外でって一瞬シェリーの頭には考えがよぎったが、もう想いは止められなかった。

 そして、二人の唇が重なり合うその瞬間、シェリーの身体がぐらりと揺れた。

「──っ!」

 大きな音を立ててシェリーはジェラルドの腕をすり抜けて地面に倒れた。
 胸元の部分からはまがまがしい呪いの気配が感じられて、ジェラルドはシェリーの鎖骨辺りまでドレスの襟をめくると、そこには自分よりもはるかに進行した呪いの跡があった。

「シェリーっ!!」

 ジェラルドは急ぎ彼女を抱きかかえると、馬車に乗り込んで王宮へと急いだ──