そして数日後、事態はさらに悪化することとなる。
 グローヴ侯爵は長年領地の税を不当に搾取して、富を得ていたがそのことがついに王国にバレたのだ。
 急いでその証拠を処分しようと探しているが、なぜかその書類が見当たらないのだ。

「なぜだああーーーー!!!!!!!」

 グローヴ侯爵は書類を机中のみならず部屋中にまき散らして頭を抱えている。
 書類をビリビリに引きちぎり、そして床に叩きつける様子をメイドや執事たちは恐ろしそうに眺めていた。

「なぜあのことがバレたんだ……終わりだ……」

 すると、セドリックがグローヴ侯爵の目の前に現れて彼に向かって言い放った。

「グローヴ侯爵、領地での不当な税金徴収ならびに王国への虚偽の報告、納税。そして隣国への情報漏洩の件で話があります。ご同行願えますか?」
「くそっ!!」

 セドリックはグローヴ侯爵を連れて、王宮へと戻っていった。
 その姿を口角を上げて微笑み、眺めている者がいるとも知らずに……。