「ジェラルド・ヴィンセント王から婚約の申し出が来た」
「──っ!?」

 シェリーは国王からの婚約申し出というとんでもない出来事に口がぽかりと開いて何も言えなくなってしまった。
 そしてどうやら落ち着いて見えた父親であるグローヴ侯爵も同じ気持ちだったようで、次第に焦った表情が見え始める。

「私も驚いているんだ。お前みたいな出来損ないで婚約破棄ばかりされてくるやつがなぜと……」
「は、はい。私も思っております」

 グローヴ侯爵は席を荒々しく立つと、そのままシェリーに駆け寄って両肩を掴む。

「──っ!」

 掴まれた衝撃でシェリーはその肩が痛んだが、そのまま父親の話を聞いた。