妃教育を朝から熱心におこなったシェリーはランチを食べるためにダイニングへと向かっていた。

(クラリス先生、今日も厳しかったわね。もっともっと頑張らないといけないわ)

 手をぎゅっと握って、そして自分の頬を叩きながらダイニングに入ると、驚いたメイドたちが一斉に皆シェリーのほうを向く。
 シェリーはしまった、とばかりにごめんなさいと頭を軽く下げておしとやかにダイニングのテーブルにつく。
 ランチのプレートを持ってきたアリシアの茶色い髪がシェリーの目に入る。

「アリシア、またやってしまったわ」
「お嬢様は突然突拍子もないことを始めるので皆様に驚かれるのですよ」
「そうね、気をつけます」
「陛下の前でやってないでしょうね?」
「そ、それは……なくはない?」
「シェリーがおかしなことをすることについてかい?」

 二人はその麗しい声に振り返ると、そこには椅子に手を掛けたジェラルドがいた。