『セドリックっ! ローラは?!』
『昨日の夜息を引き取られました』
『──っ!』

 悲痛なジェラルドの声が部屋中に響き渡り、さすがのセドリックも目を閉じて唇を噛んだ。
 ローラはまだ25歳であった。
 ジェラルドと婚約者であった期間はわずか1年にも満たなかった。
 それでも、二人は将来を約束しあって想いあっていた──


 そんな彼女との思い出と共に、そっと写真を撫でる。
 同時に頭の中にシェリーの笑顔と、そして最後に見た傷つきそして涙を目にためた姿が浮かんで頭を抱えた。

 しばらくの間ジェラルドは考え込み、頭の中では彼女との思い出と言葉、そして声が流れていた。


『陛下、いつもありがとうございます』

『陛下、ダメですよ。ご公務をさぼっては』

『陛下、いつも素敵な贈り物ありがとうございます』


 彼女の笑顔と、そして最後に見た生気を失った顔を思い出す。

「ローラ、私は……」