「シェリーっ!」

 ジェラルドの手がシェリーの腕を捕まえて、そしてなんとも悲しそうな表情で再び語り始める。

「彼女は死んだんだ」
「──っ!」
「彼女は呪われた私の身体を気味悪がらずに接して、そして癒してくれた。しかし彼女の聖女の力をもってしてもこの呪いは解けなかった」
「それで、彼女は……」
「彼女は聖女の力を使い果たして亡くなった。私が公務で遠征している途中だった」

 ジェラルドは過去を思い出すように少し俯いてシェリーを目を合わせずに言う。
 そして手を握り締めてきりきりと歯をくいしばった。

「彼女はもともと修道院の子で聖女ではありながら、私との結婚を身分によって反対されていた。でも私は彼女を愛していた」
「…………」

 シェリーは何も言えなくなり、そして言った。

「ジェラルド様、少し一人にしてくださいませんか?」
「……ああ」

 ジェラルドはそっと優しくシェリーの腕を解放すると、彼女は振り返ることなく部屋をあとにした。
 彼は地面に座って頭を抱え込んだ──