シェリーとジェラルドは黙ってしばらくの間見つめ合っていた。
 その沈黙の間にもジェラルドの額に汗が流れ、そしてシェリーの心の中は反対にどんどん冷たくなっていく。

「シェリーっ! これは、そのっ!」
「いえ、陛下にも大切な女性の一人や二人、そして第二妃の一人くらいますよね? もしかしたら私が第二妃で、彼女は第一妃でしょうか?」
「…………」

 シェリーの言葉に何も言えなくなったジェラルドは唇を一瞬噛みしめて、そして小さな声で語り始めた。

「彼女は私の恋人だった人だ」
「…………」

 その言い方に違和感を覚えたが、ああ、そうかやはり私は2番目の女なのね?という気持ちでシェリーは思った。
 みじめで恥ずかしく、シェリーは喉の奥がつんとなってそして苦しくなり、部屋から退室しようとする。