魔女はシェリーのその声を聞き、深くかぶっていたフードを脱いだ。
 すると、シェリーにお母さんと呼ばれたその魔女は不気味に笑ってそっと語り始める。

「大きくなったわね、私の可愛いシェリー」
「なんで? 病気で死んだはずじゃ……」
「シェリーの母親だと?」

 ジェラルドは戸惑い確認するようにシェリーの顔を見ると、シェリーも彼を見返してそして小さく頷いた。
 三人の視線が交錯して、まわりの森に風が強く吹く。

「確かにお前は私に呪いをかけた魔女だ。だが、シェリーの母親でもあるのか?」

 ジェラルドのその答えに長く形の整った爪を撫でて、魔女は言う。

「半分正解で半分は違うわ。あなたに呪いをかけたのは私、そしてシェリーに呪いをかけたのも私」
「──っ!」
「でも、私はシェリーの母親ではないわ」
「そんなはずないっ! だってお母さんの顔をしてるっ!」

 すると、ゆっくり瞬きを一つすると微笑みながら魔女はシェリーに向かって言う。

「シェリーの母親は私の双子の妹よ。そして確かに死んだわ。私が殺した」
「──っ!!!」
「殺してほしいって言われたのよ、彼女に。だから殺した。私は悪くないわ」
「なんで……」

 ジェラルドは腰に携えていた剣を抜き、魔女に向ける。