ジェラルドが人波をかき分けて魔女を目指し追いかけるのを、後ろから同じようにシェリーも駆けて追う。
 やけに人が多い街並みを急ぐ気持ちで走っていく。

「待てっ!」

 魔女の背中がだんだん大きくなったところで一気に手を伸ばすも、ふっと目の前から消えるようにいなくなる。
 立ち止まって辺りを見回すと、再び離れたところに魔女の姿がありそしてまたシェリーたちは追いかける。

「貴様、待てっ!!」

 ジェラルドがようやく足を止めた魔女の肩に手を置いたその瞬間に、シェリーもその場に追いついた。

「はぁ……はぁ……」

 シェリーは息を切らせながらゆっくりと顔をあげて魔女を見ると、深くフードを被ってそして赤い目を光らせていた。
 だが、その顔はシェリーの記憶の中の魔女とは少し違い、そして今目の前にいる魔女の顔もシェリーは見覚えがあった。


「……お……かあさん……?」
「え?」