シェリーは嬉しそうな表情をうかべると、テーブルや棚に並べられた飴細工を眺めていく。
 それはうさぎの形や星、家、そしてりんごなどの日常に溢れているものの形や、おそらくマダムの創作であろう素敵な形をした一点もののような飴細工もあった。
 ジェラルドもシェリーのあとを追うように見ていく。

「綺麗ですね」
「ああ、すごく繊細なものだね」

 シェリーは自然とマダムのほうへと足が進み、彼女の作っている様子をじっと観察する。
 マダムは器用に飴を操り、そしてハサミを使って形を整えていく。

「すごい……」
「これほどの職人がこの国にいたとは」
「私も職人さんを見るのは初めてなので、見入っちゃいますね」
「ああ」

 二人が興味深そうに眺めていると、マダムが声をかける。

「二人は夫婦かい?」
「え?!」

 シェリーは驚いてそのあとどう答えていいかわからずドギマギしていると、ジェラルドが横から嬉しそうな声で返答する。

「ええ、そうなんですよ。お似合いでしょう?」
「ああ、とても」

 職人気質なのか口数は少ないけれど、飴を転がしながら少し微笑んでマダムは言う。