「ですが、護衛もつけずによかったのですか?」
「ああ、セドリックが影から見てるよ」
「そうだったのですか?!」
「ほんとは二人きりがよかったんだが、どうしてもそれはダメだと言われてね」

 ものすごく落ち込んで肩を落とすジェラルドに、シェリーはそっと彼の手の上に自分の手を重ねた。

「──っ!」
「私はこうしてジェラルド様と街に出られるだけで嬉しいです」
「シェリー……今すぐ君に愛情表現を目いっぱいしてもいいだろうか」
「なんだか想像するに大変激しそうなので、今はご遠慮いたします」
「君は私の扱いがうまくなってきたね」
「いえ、とんでもございません」

 そんな会話をしているうちに街は一番賑わいを見せるストリートへと出た。
 道の脇に馬車を止めると、二人はゆっくりと降りて歩き始める。