「美味しい……」
「よかった、君とワインを一緒に飲みたかったんだ。気に入ってもらえたみたいだね」
「はいっ!」
「これは北方の辺境地で採れるブドウを使ったワインでね、ここのはあまり流通がしない希少価値が高いものなんだ」
「そんな貴重なものよいのですか?」
「ああ、実は北方の辺境地を治めているのが私の叔父でね、先日の誕生日にくれたんだ」
「そうでしたか」
「だから、君が私の婚約者となったこの特別な日に飲むのにふさわしいかと思ってね」

 そう言いながら、ジェラルドは一口ワインを口に運ぶ。
 それを見て同じようにシェリーも一口飲むと、二人は目を見あって微笑み合った。

「私の婚約者になってくれてありがとう」
「私も、あなた様の婚約者になれて嬉しいです」

 二人はその後もワインをゆっくり飲みながら、語り合って楽しんだ──