病院に着くと夜間入口のドアが開けられていて
院長と看護師さん数名と
ストレッチャーが用意されていた

男性三人でも彼一人をストレッチャーに乗せるのに一苦労

すぐに検査になり処置室へと消えた


不安だけれど不思議と冷静な自分に驚く

しばらくは狛犬二人と廊下の椅子に座って処置室のドアを見ていたけれど

簡単には出てきそうもないから


「ちょっと電話をかけてくる」


シンとした待合ロビーまで出るとお姉さんに電話をかけた


(みよちゃん、どうだった?)

「彬が倒れて病院に運んだ所です」

(えっ、分かった今から行くから)

「いえ、私が付き添うので大丈夫です
とりあえずお知らせだけで
何かあったらまた電話しますね」

(みよちゃんごめんね
彬のこと。お願いします)


電話を切ると急いで処置室の前に戻ったけれどまだのようだった


「みよさん大丈夫?」


松本さんが不安そうに見つめるから


「私は大丈夫だよ」


少し笑って見せる


「意外に強いんだな」


「え?」


「初詣で逸れた時には泣いてたのに意外に強くてホッとした」


「意外は余分よ」


「さすが元不良」


意地悪そうに笑う松本さんに釣られた


どこかで緊張の糸が切れるのだろうか

ボンヤリ見つめていた扉が開いて
看護師さんが出てきた


「みよさん中へ」


「はい」


恐る恐るついて行くと
酸素マスクと点滴に繋がれてベッドに寝る彬が見えた


「・・・っ」


「見た目大袈裟だけど、とりあえず処置はしたから」


「ありがとう、ございます」


「こいつ何も食べずにかなりの量を飲み続けたんじゃないかな」


「・・・この数日のことは知らなくて」


「・・・そっか」


「悪いんですか?」


「血液検査も数値が凄くてさ
洗浄は済んだけど、点滴と投薬
二、三日は入院してもらうよ」


「二、三日」


その日にちの短さに大事ではないと
力が抜けてその場に崩れ落ちた


「みよちゃんっ」


「・・・ん、平気」


「コイツはなにかあったのか?
普段こんな飲み方しないからさ」


私の所為だ私が彬を追い込んだ


「私の・・・所為です」


「そんな訳ないよ、いい大人なんだからさ」


「でも・・・」


「こんな可愛い彼女を放っておくなんて
起きたら叱ってやるからね」


フラフラする身体を支えてくれていた院長は
私を抱き留めたまま頭を撫でてくれた