彬との付き合いが公認になった週末
これまでとは違って家の前まで迎えに来た


「今日は海へのドライブとご飯を食べに行く予定だけど
みよはなにか希望はない?」


「・・・ううん、大丈夫」


小さなことだけれど、こうやって希望を聞いてくれるところとか
ちゃんと予定を話してくれるところ

彬との付き合いは私優先


「なにを考えてる?」


「ん・・・とね、お腹空いたって思ったの」


違うけど、追求されないためにも話はすり替えるに限る


「ランチはイタリアンを考えてるけど
なにか食べたいものがあれば店を探すよ」


「イタリアンで良いよ」


「分かった」



・・・



彼のエスコートで進むデートは
背伸びをしたい気分も手伝って
楽しい時間として過ぎていく


ただ、高校三年生で十八歳の小娘と三十歳の彬は

恋人同士に見えるのかな?


妄想と考え過ぎの私は彬のことを見る余裕もなくて・・・


自分のことばかりを思っている


そんな私に気付いたのか


彬は「忘れ物」とマンションへと行き先を決めた


ばあやの出迎えに挨拶をすると
彬と手を繋いだまま寝室へと向かった



「どうぞ」とベッドに私を座らせた彬は


「プレゼントがあるんだ」


そう言うとクローゼットの中へと入って行き

小さな包みを持って出てきた



「ほら」


手のひらに乗せられた小さな箱は
綺麗なリボンがかけられている


中からはハート形のケースが出てきた



「・・・可愛い」


思わず漏れた声にクスと笑う彬の声が聞こえた


「中も可愛いと思う」


その声に誘われて開いたケースの中から
真っ赤な石のついた指輪が現れた


「・・・なんで?」


まだお試しの付き合いなのに・・・

その言葉は彬の表情があまりにも甘くて飲み込んだ


「彼女に贈り物をするのに理由なんて要らないだろ」


「・・・あり、がとう」


「ほら、着けてあげる」


右手の薬指に収まった指輪は
ハート形の石がなんとも可愛い



「みよが喜ぶ顔が見られて良かった
実は内側も見て欲しい」


リングを外してみると
【AtoM】と刻まれていた


「Oじゃないの?」


「ん?O?」


「うん。おじさんのO」


「もう、おじさんじゃないだろ?」


「だっておじさんて呼びやすいもん」


「そのことについて深く話し合おう」


意地悪く口角を上げた彬の顔が見えた瞬間

抱き上げられた身体は
ベッドの上に連行されていた