手早くシャワーを浴びて制服に着替えたあとは


片手で大きなクマを持った彬と
リビングルームに戻った


そこには誰も居なくて


「呼びに、行く?」


「邪魔しちゃだめだろ」


「・・・っ」


行動派の加寿ちゃんは
『抱かれてみないと相性は分からない』というタイプ

考えるまでもなく、そういうことだと思う


「クリスマス、どこか行こうか」


「家族と過ごす予定」


「そんな意地悪は言わない
雪の中が良いなら、別荘
暖かい場所なら海外か・・・」


「海外?・・・行きたいけど
お父さんが許してくれないだろうし
それに、」


「それに?」


「彬との付き合いは秘密だから」


「秘密か・・・
お試しの一ヵ月が終わって
正式に付き合い始めたらお父さんに挨拶しよう」


「許してくれないと思うよ?
韓国旅行の写真を見せた時にダメだって言ってたし」


「大丈夫だよ、許してもらえるまで
何度でも説得するから」


単なるお試しの付き合いなのに
親を巻き込む嫌な予感


お喋りするうちに戻ってきた加寿ちゃんは
どう見てもボンヤリしていて


「大丈夫?」


「・・・うん」


その歯切れの悪さに帰ることを選んだ


「じゃあ、送るよ」


行き先は同じなのに二台に分かれた車の中は


「寂しい」という彼の甘い声を聞くことになった




・・・





先に着いていた加寿ちゃんと連れ立って家まで歩く

やはりボンヤリした様子の加寿ちゃんをこのまま帰したくなかった


「泊まっていく?」


「うん」


加寿ちゃんの家には母から電話をしてもらい
父には部屋のソファーをベッドに組み替えてもらった

並んで寝転ぶと、今日付き合い始めたばかりの竹田さんとの話を聞いた