「「「ワァァァ」」」
「「「おめでとうございます」」」
途端に拍手が湧き起こり
院長の腕の中から覗いて見ると、スタッフが並んで拍手をしていた
「計画的犯行ですか」
「もちろんです」
「薔薇・・・ありがとう」
「買い占めたんだ、今日のために」
「これ何本あるの?」
「108本」
「・・・確か意味があったよね」
「そうそう
“結婚してください”って意味だよ」
「・・・嬉しい」
花束を抱えたまま、隙間なく抱きつく
「なになに、めちゃ可愛いんだけど」
「知ってる」
「「フフ」」
「・・・あの」
控えめに聞こえた声に視線を向けると
支配人がケーキを運んできていた
「うちのシェフからの細やかなお祝いでございます」
「「ありがとうございます」」
大好きな苺がたくさん乗ったケーキは
シェフ自らが切り分けてアレンジもしてくれた
たくさん写真を撮って貰って
上機嫌でホテルを出たあとは
真っ直ぐレガーメへ向かった
。
・・・絶句
今の状況を表すならこの二文字
NEXTOPの社長室に向かい合うこと数分
固まったままの父はまだ動きそうもない
『凄い花束だな』
『プロポーズだからね』
『・・・え』
父と交わしたのはたったこれだけ
そうして待つこともう二分
ようやく父が動きだした
「まだ早すぎるだろ」
「僕が待てなくて、すみません
正式なご挨拶は後日お時間を頂戴したいと思います」
「・・・反対じゃないんだ
ただ、早いなと思ってな」
「現時点では婚約という形で
二人で暮らし始めて、折を見て入籍を考えています」
「・・・そうか」
「結婚式もその時に合わせます」
「みよを見る機会が減るな」
寂しそうな父に少し気持ちが揺れた
「住むのは駅裏だし、アルバイトも続けるし
なにより、可愛い娘に変わりはないけど」
「・・・ハハハ、そうだな
というか、駅裏に住むのか?」
「はい、地権者優遇に色をつけて最上階を・・・」
「そうか、あそこは柴崎さんの土地も含んでいたな」
「そうなんです。始めて役に立ったと思いました」
「ちょっと、おじさんトーク続けないで」
「こら、みよは」
「フハハ」
「だから、えりと土居さんが結婚するまでに
みよは引っ越すからね」
「・・・ハァ」
深いため息を吐いた父だったけれど
最後は家具選びに同じ一階に入店している海外商品を扱うカリーナの社長を紹介してくれた
「一階に置いてある“木こりシリーズ”も可愛いけど
あのマンションに“可愛い”は要らない気がするの」
「中に入ってしまえば関係ない気もするけどね」
「二ヶ月しかないから、頑張ろう」
「俺もみよちゃんの手となり足となって支えるよ」
「「フフ」」
A story of never ending love・・・



