「一ヶ月経てば別れるから大丈夫だよ」

(そう?じゃあ良いけど。兄さんにバレないようにしないとね)

「うん」

(あ、そういえば・・・)

「なに?」

(この前青野さんが店に来た時、みよちゃんが掃除に来てくれてる話したのよ)

「へぇ」

(そしたら、韓国旅行の時にいた妹の方かって聞かれた
もしかして狙われてたとか?)

「確かに韓国旅行で会って一目惚れしたって聞いた」

(へぇ~モテ男にしては一途なとこあるじゃん)

「感心しないでよ」

(じゃなければロリコンでしょ)

「犯罪だ」

(何かあったら私に連絡してね
今夜もうちで食事したことにしてるから)

「ありがとう、祥子ママ」

電話を切った途端、また画面が切り替わり
知らない番号が表示された


「・・・?」


恐る恐る耳にあてると


(長電話だよな)


聞き覚えのある声が聞こえてきた

「おじさん?」

(おじさんじゃないだろ)

「・・・なんで」携帯番号?

確かに“連絡する”とは聞いたけれど
番号交換もしていないからと気にもしていなかった

(勝手に交換させてもらった)

「は?」


バスタブに落とされた時にポケットから
慌てて取り出した携帯電話を彬に渡した

交換したというならその時だろう

(手間が省けただろう?)

そう言って笑う声を聞いていると
どっちでもいいかと思えた

「ところで、四年前の写真見たよ」

(どうだった?)

「思い出せなかった」

(そうか。そのうち思い出すといいな
ところで、明日は何してる?)

「バイトしてから友達と遊ぶ」

(俺とは?)

「会う時間ないけど」

(時間を作って欲しい)

「無理だよ・・・まさか一ヶ月毎日会うつもりじゃないよね?」

(毎日会うよ)

「無理」

(まぁ良い、早く寝ろよ
みよ愛してる)

「おやすみなさい」


面倒な付き合いの展開に呆れたけれど
一ヶ月だと諦める気持ちにもなって

自分を慰めるように翌月のカレンダー

一月五日に丸を書いた