久しぶりに加寿ちゃんと駅ナカへとやって来た
世の中は平日で動いているのに、休みというだけで楽しい
「首の怪我は治ったの?」
「もう分かんない程度」
襟元を広げてみれば
「流石、お医者様の手当てのお陰だね」
「まぁね」
「で、どうなの?バレンタインが一ヶ月目なんでしょ?」
「先にその話にする?」
「うんうん」
買い物よりコーヒーショップへ向かうことにした
途中、本屋さんの店頭に並ぶ[本日発売日]の赤い札と
ズラリと並べられたタウン誌が目に入った
「みよちゃん。この前の写真出てるんじゃない?」
加寿ちゃんがパラパラとページをめくると
特集コーナーの半分に加寿ちゃんと私のツーショットが載っていた
ハシャぐ加寿ちゃんを見ながら
同じように手に取ってページを捲ると
《今月のNo.1》とキラキラした枠がついているのが見えた
。
タウン誌の腕章を着けたカメラマンに声をかけられたのは十二月に入った頃だった
『ねぇ彼女達は大学生?』
『高校生』
興味のない返事しかしていないのに
ずっと付いて来るからウザい
どうやら“街で見かけたお洒落さん”ってコーナーの写真を撮っているらしかった
コーナーのネーミングも微妙だよねって笑うのに諦めてくれないから
『じゃあ。ちゃっちゃと撮っちゃってよ!』
諦めたのは私達だった
全身写真とコーディネートの金額
下の名前に年齢と夢中になっていることをボードに書いて胸の前で持つ
撮られながら質問に適当に答えて漸く解放された
よくあるタウン誌に載っただけのこと
そう思ったのに
「みよちゃん!」
加寿ちゃんが指差した二人の写真の下には
《恋人募集中》の文字が光っていた
「・・・は?」
勝手なことをして、とは思ったものの
だからって現状が変わる訳でもないから
あっという間に興味をなくし
コーヒーショップでグランデサイズを注文するとソファ席に根を下ろした
「んで?院長とはどんな感じ?」
「彬とは真逆過ぎてね
携帯電話の電源を落としたこともなければ喧嘩もしない」
「順調ってことだよね」
「だからかな、少し不安」
「もしかして、好きになっちゃった?」
「・・・ん」
「だから、浴びるくらいの気持ちが欲しい」
「・・・ん」
「でも、彬さんのお姉さんから言われた通り
その二人だけじゃなくて、他でも良いんだからね」
「そうだよね」
「不安な気持ちが拭えないなら
バレンタインにクッキー渡してバイバイで良いじゃん」
「・・・ん」
「でも、みよちゃんがそんな顔をしてるってことは
もう答えが出ちゃったってことだと思うよ」
そんな顔がどんな顔かは分からないけれど
私のことは誰よりも加寿ちゃんが知っている
相変わらずの加寿ちゃんに少し気持ちが楽になった



