四年前は中学生
おじさんはロリコンなのだろうか


「何を考えてる?」


「ん・・・四年前って中学二年生の頃だと思って」


「四年前、韓国で会ったと言えば思い出せるか?」


「・・・韓国」


確かに父の妹である祥子ママの家族と韓国旅行に行ったことは覚えている


でも・・・おじさんと会った?


「みよの親父さんは不動産のNEXTOPだよな?」


「うん」


「うちも同業だから面識があるんだ
四年前、韓国に旅行中の山下さん家族に会った
一緒に写真撮ったの覚えてない?」


「行ったことは覚えてるけど・・・」


「おじさんだもんな」


「・・・確かに」


「こらっ」


オデコをピンっと張る真似をするおじさんを避けようとして
ふらついた身体はベッドに押し倒された


「みよ、好きだ」

「俺だけをみて」

「俺を好きになって」


強引に塞がれた唇に身体から力が抜け
荒々しいキスに息が続かない


「・・・んっ、ま、って」


両手で押し退けようとしてみても
押さえ込まれた身体は腑抜けで

・・・諦めた

おじさんの重みを感じながら
絡められた指が逃げ道を塞ぎ

溶けそうな口付けに思考力さえ流れる


「・・・ん・・・ぁ」


唇が離れると、絡めた視線の先、情欲に揺れる瞳が見えた


「みよ」


首筋に埋められたおじさんの口から
「大事にする」と甘い、甘い声が溢れる


それにウッカリ流されそうになるのを堪えて


「一ヶ月のお試しで」


キッパリと言い切った


「分かったよ。みよは必ず俺を好きになる」


自信たっぷりのおじさんは
お茶目に片目を閉じた



「一つだけ約束して」


「あぁ、良いよ」


「一ヶ月のお試しとはいえ浮気はダメ
浮気された時点でこの付き合いは終わり」



好きじゃなくても浮気は容認できない



「もちろん浮気なんてしない
ただ」


「なに」


「うちの会社が持つビル内で
夜の店も経営してるんだ、だから」


「同伴があるってこと?」


「あぁ、それは許してくれるのか?」


「関係性にもよる」


「もちろん同伴以外ないと約束する
じゃあこれで決まり
今から、おじさんって呼ぶのは終わりだよ」



おじさんはフワリと微笑んだ


「なんて呼べば良いの?」


「彬《あきら》。呼び捨てで
敬語は、取れてるな」


「わかった」


「そろそろ制服も出来上がる頃だろう
着替えたら送って行くよ」


「うん」



狛犬の運転で家まで送ってもらった


「なんだか寂しい」


繋いだ手を何度も握り直すのは、おじさん、じゃなくて彬

隙間なく触れてくるのも、彬


降りる間際にオデコにキスを落とした彬は

「連絡するから」と最後は眉を下げた


「今日はごちそうさま
おやすみなさい」


同じ思いは返せないから丁寧に頭を下げると、振り返らずに家まで歩いた