カエデちゃんはきょとんとしています。


「そう。アミダさまがやってくるのには二つの条件があるの。1つはアミダさまの存在を本気で信じること。もう1つがね、呪文を唱えることなの……」

「だから、話を聞いただけなら平気だからね。あんまりこわがることないのよ、カエデちゃん」


と、私は重ねて慰めます。

しかし、そう言うと、サクラちゃんとカリンちゃんは、また意地悪そうに笑って、


「くすくす。でもね……。今日はみんなでその呪文を唱えてみようと思うの」

「えっ……」


カエデちゃんがまた泣きそうな顔をしました。


「くすっ……。大丈夫よ、しょせん、お遊びよ、お・あ・そ・び」

「そうよ。どうしてもイヤならカエデはしなくてもいいけど、カエデだけ仲間はずれになっちゃうよ?」

「……仲間はずれはいやだよう」

「あたしもそんなバカらしいこと、やりたくないけどなぁ……」


アオイちゃんも嫌そうな顔をしています。

ですが、カリンちゃんとサクラちゃんは二人に全然構わず話を進めていきます。


……私も正直そんな薄気味悪いことはイヤでした。

けど、こういう時に渋っていると「ノリが悪い」と思われてしまいますし、しぶしぶながら二人に従ったのです。


「いい、じゃあ、私の後に続いて、みんなで一緒に唱えてね……」


と、サクラちゃん。みんながウンと頷きます。

カエデちゃんも半泣きながら、覚悟を決めたようでした。


「いい、いくよ……。ナムアミダブツ……」

「ナムアミダブツ……」

「もう一度。ナムアミダブツ……」

「ナムアミダブツ……」


こうして、私たちは10ぺんほどナムアミダブツと唱えました。