阿弥陀仏の呪い

「ねえ、アミダさま……。」


マーヤちゃんは恐ろしいことを言い出したのです。


「そんなあたしに比べて、ここにいるリョーコちゃん。彼女はとても素晴らしい子です。常に成長の意欲に溢れ、うまずたゆまず、万丈の気を吐き、粉骨砕身、悪戦苦闘、七転び八起きの人生。自助努力に生きる女、それがリョーコちゃんなのです。サトリに一番適しているのは彼女です。どーか、私のことは放置して彼女をゴクラクに連れて行ってください」


彼女は、

私を、売ったのでした――。


私が最も信頼していた親友は、

この土壇場で、私をアミダさまに売り飛ばしたのです!


ですが――。


このとき当然抱くべき感情に、

私はなぜか囚われませんでした。


怒り


憎しみ


悲しみ


そういった負の感情になぜか私は囚われず――、

むしろ、仁愛の情を持って――、


私は、目の前の親友を抱きしめていたのです。