「アミダさま……。ゴクラクに連れて行く前に、あたしの話を少しだけ聞いてください……」
アミダさまは動きません。
マーヤちゃんが続けます。
「ねえ、アミダさま……。あたしは、ホントウにダメな子なんです……。何をやらせてもダメ。運動もダメ。勉強もダメ。料理もヘタ。性格も悪い。なのに何の努力もしない。治そうとしない。あたしは成長しない女なんです」
マーヤちゃんは教室で言っていました。
アミダさまから逃れられるかもしれない、と――。
それがどういう手段かは聞き逃しましたが、もしかすると、マーヤちゃんが私たち二人をアミダさまから救ってくれるかもしれない。
このときの私はマーヤちゃんだけが頼りでした。
「アミダさま、あなたはあたしをサトリにしたいんでしょう? でも、あたしはダメなんですよ。あたしはホントウにダメな女なんです。なんたって、自分で努力する気がまったくないんです。他のみんなは――」
――アオイちゃん、カレンちゃん、サクラちゃん、カエデちゃんは。
「他のみんなは自分で努力してサトリになろうとするかもしれません。でも、あたしはそうしないんですよ? すっごく手のかかる女なんです。もし、あたしをサトリにしたいなら……、アミダさま、あなたが全てあたしの面倒を見ることになるんですよ……?」
これがマーヤちゃんの奥の手だったのです。
確かに、努力する気のない、やる気のないものを育てるほど面倒なことはありません。
私たちにはサトリというものがどういうものかは分かりません。
ですが、マーヤちゃんの仮説どおり、「悪いところを治す」ことがサトリだとすれば、治す気のないマーヤちゃんは、きっとアミダさまにとっても面倒なはずです。
アミダさまも、わざわざそんな人間をサトリにしたいとは思わないかもしれません……。
これは良いアイデアかも……。
私もマーヤちゃんも助かるかもしれない……。
そう思いました。
しかし――、
アミダさまは動きません。
マーヤちゃんが続けます。
「ねえ、アミダさま……。あたしは、ホントウにダメな子なんです……。何をやらせてもダメ。運動もダメ。勉強もダメ。料理もヘタ。性格も悪い。なのに何の努力もしない。治そうとしない。あたしは成長しない女なんです」
マーヤちゃんは教室で言っていました。
アミダさまから逃れられるかもしれない、と――。
それがどういう手段かは聞き逃しましたが、もしかすると、マーヤちゃんが私たち二人をアミダさまから救ってくれるかもしれない。
このときの私はマーヤちゃんだけが頼りでした。
「アミダさま、あなたはあたしをサトリにしたいんでしょう? でも、あたしはダメなんですよ。あたしはホントウにダメな女なんです。なんたって、自分で努力する気がまったくないんです。他のみんなは――」
――アオイちゃん、カレンちゃん、サクラちゃん、カエデちゃんは。
「他のみんなは自分で努力してサトリになろうとするかもしれません。でも、あたしはそうしないんですよ? すっごく手のかかる女なんです。もし、あたしをサトリにしたいなら……、アミダさま、あなたが全てあたしの面倒を見ることになるんですよ……?」
これがマーヤちゃんの奥の手だったのです。
確かに、努力する気のない、やる気のないものを育てるほど面倒なことはありません。
私たちにはサトリというものがどういうものかは分かりません。
ですが、マーヤちゃんの仮説どおり、「悪いところを治す」ことがサトリだとすれば、治す気のないマーヤちゃんは、きっとアミダさまにとっても面倒なはずです。
アミダさまも、わざわざそんな人間をサトリにしたいとは思わないかもしれません……。
これは良いアイデアかも……。
私もマーヤちゃんも助かるかもしれない……。
そう思いました。
しかし――、

