阿弥陀仏の呪い

秋葉原刑事は慌てたふうに言いました。


「あの……。もしかして、お二人とも、阿弥陀さまのことを、信じてるんですか……? 阿弥陀さまが、ホントウにいるって信じてるんですか……?」

「違うんです、刑事さん!」


私たちは慌てて反論します。


「違うんです! アミダさまは信じるとか信じないとか、そういう問題じゃないんです!」

「いるんです、アミダさまは実際にいるんです! 絶対に! 確実に! 間違いなくこの世に存在するんです!」

「それで私たちをゴクラクに連れていってサトリにしちゃうんです!」


秋葉原刑事は、私たちの勢いに圧されたのか、しばらくの間、ポカーンとしていましたが、


「き、きみたち……」


ぽろり。

突然、刑事さんの瞳から一粒の涙が零れ落ちました。

それを見た私たちが、涙の意味も分からずきょとんとしていると――、


「素晴らしい…………」

「えっ……!?」

「キミたちほどの妙好人に会ったのは初めてだ……」


ミョウ、コウニン……??

このとき、私たちは不穏な気配を感じ取っていました。

何かがおかしい……。

この刑事さん、何かが、おかしい……。


そして実際に、秋葉原刑事は、


「素晴らしい。キミたちは絶対に――」


恐ろしい言葉を、口にしたのです。


「極楽行き、決定だよ――」



ゼ・ッ・タ・イ・ニ

ゴ・ク・ラ・ク・イ・キ・

ケ・ッ・テ・イ・ダ・ヨ……。



「いやあぁぁぁああああ!!!!!!!」


私たちは秋葉原刑事を突き飛ばし、

廊下を駆け出していました――。