マーヤちゃんは続けます。


「ほら、大きなお世話っていうじゃない? 自分で善人だと思っている人は、それゆえに自分に無反省になると思うの。でも、カエデちゃんのように自覚のある悪い子なら……」

「そっか。自分の悪い点を反省して……改めることができる……」

「うん。確かカレンちゃんも援助交際の件、自覚していたよね」


そう考えると、アミダさまが悪い子から先にゴクラクへ連れていく事実と、仲間を増やすという動機が一致するように思えました。


「じゃあ、サトリってのは、その悪いところを改めさせることなのかしら」

「……かもしれないわ」


サトリがホントウにそんなことなのでしょうか。

私には疑問でしたが、他の仮説も思いつきませんし、今はマーヤちゃんに頷いておきました。


「でもね、アミダさまは結局、誰でもゴクラクに連れていってサトリにしてしまうのよ。ナムアミダブツを唱え、アミダさまの存在を信じてさえしまえばね」

「遅いか早いかの違いだけ……」

「そう。でもね、リョーコちゃん。あたしは見つけたの。あくまで可能性に過ぎないけれど……。アミダさまから逃れる方法を……。それは……」

「マーヤちゃ……」


と、その時です――。

誰かが教室の扉を叩く音が聞こえました。

私たちは瞬時に身構えます。しかし……、


「リョーコさん、リョーコさん。私です、秋葉原です。お二人とも無事ですか!」


――助かった!

私たちは安堵に胸をなでおろし、扉へと駆け出しました。