しかし、希望もありました。

サクラちゃんが次の一節を見つけたのです。


「みんな、見て、これ――。『善人なおもて往生す。いわんや悪人をや』」

「ぜんぜんわからなあい」

「ひょ、ひょっとして……。これって、悪人だけをゴクラクに連れていくってことじゃないかな!」

「でも、アオイちゃんは最近不良と付き合ってたけど、カレンちゃんはどうなの……?」


私はカレンちゃんとアオイちゃんの援助交際の話を、こっそりと打ち明けました。


「そ、そっか……。じゃあ、やっぱり悪いことしてる人だけなんだ……。ハハ、二人は援助交際してたから、アミダさまに連れていかれたんだよ」


マーヤちゃんが乾いた声で笑いました。

自分は助かった、なぜなら自分は援助交際などしていないから――。

マーヤちゃんだけでなく、サクラちゃん、カエデちゃんにもそういった雰囲気が溢れていました。


でも、私は気になっていました。

あの時、確かにカレンちゃんは言っていたのです。


『アミダさまってね、悪い子からゴクラクに連れて行っちゃうんだよ……』


カレンちゃんは、「悪い子から」と言ってました。

そして、実際にアオイちゃん、カレンちゃんが順に行方不明になり――、

次は、私たちの番かもしれないのです。

悪い子がすべていなくなり、次は私たちがゴクラクに連れていかれるのかもしれないのです。