「まあまあ。マーヤも落ち着いてよ。私も100%間違いなくアミダさまの呪いだなんて言ってないよ。ただ、その可能性も考えた方がいいってだけ」


サクラちゃんが言うにはこういうことです。

あの話の直後、二人もの人間が突然失踪するのはおかしすぎる。

もちろん、アミダさまの呪いだなんて、そんな非科学的なことは信じたくない。

けれど、実際に不思議な事件が二度も続けて起こってることも事実。

二人が何らかの事件に巻き込まれたのなら、これは警察に任せるしかない。

でも、もしも本当にアミダさまの呪いだとしたら、たとえ、その可能性が10%でも5%でもあるのなら……

私たちは自衛のために対策を立てる必要がある。


――と、いうのです。


「もしも二人がひょっこり出てきてさ。ただのイタズラでしたっていうなら、私の考えすぎってことで笑ってくれればいいからさ」

「とりあえず、アミダさまの呪いだと仮定して対策を立てようってことね」

「そういうこと♪」

「ふえええ、こわいよう……」


カエデちゃんは涙まじりになってましたし、マーヤちゃんもムスッとしていました。

二人は、アミダさまの呪いを(仮定だとしても)認めたくないようでした。


「ん、でもさあ……。調べれるの? 学校の図書室なんかで、アミダさまのことがさ?」


マーヤちゃんの疑問はもっともでした。

小学校の頃は、学級文庫に「学校の怪談」が混じっていることはありましたが、高校の図書室にそんな類のものがあるとは思えません。

アミダさまの怪談話なんてものが、学校の図書室で調べられるとは考えにくいことでした。


「それがね……」


サクラちゃんのメガネがキラーンと光ります。


「実はね、たくさんあったの……。アミダさまについて書かれた本が」