「私もそう思って、今朝、刑事さんの訪問を受けてから、すぐにヒロシに電話してみたの。そしたら、ヒロシの様子がおかしくて……」

「どういうこと?」

「ヒロシはすごく混乱してて、半狂乱になってて、『光が……光が……』と、そればかりなの……」

「光……」


私は、どうしても思い出さずにはいられませんでした。

人が死ぬときに見る光――。

それこそがアミダさまの正体であるという話を――。


「ヒロシを必死に落ち着かせて、少しだけ話を聞くことができたんだけど、あの日、アオイはすごくアミダさまをこわがっていたらしいの」


アオイちゃんは、ああ見えてすごくこわがりでしたから……。


「ヒロシは、全然信じてなかったみたいなの。それで、ヒロシはお客さんのところにアオイを送っていって、車から降ろした直後に――」


とても強い光を感じ、ふと気付くとアオイの姿がどこにもなかった、というのでした。

私はこんな話、とても信じられなかったことでしょう。

アミダさまの話を知るまでは……。

でも、今は…………。


「だから、あたし、こわいの……。アミダさまは、悪いことをしてる子からゴクラクに連れて行くっていうの。アオイが連れて行かれた今、きっと……、きっと次はあたしの番……」


カレンちゃんは電話口でぐすっぐすっと泣き出しました。


「カレンちゃん、大丈夫。大丈夫よ……。パパもママもいるでしょ? オートロックだし、アミダさまだってきっと入って来れないよ」


何の慰めにもならないことは分かっていました。


「う、ううん……。もうダメ、もう遅いの……。アミダさまは、もう来てる……。私の、ほんのすぐ近くまで来てる……」

「待って。落ち着いて、カレンちゃん……!」

「ダメなのっ! もう来てる! もう……すぐそこまで来てるのっ!!」

「カレンちゃん――!」


ツー………………


その時、不意にカレンちゃんからの応答がなくなりました。