プルルルルルル――


ケータイ電話が鳴り響き、私はハッと目を覚ましました。

時刻は23時。泣きつかれた私はいつの間にか眠っていたようです。

ケータイを見ると、相手はカレンちゃんでした。

アオイちゃんのことで何か分かったのかもしれません。

私は慌てて電話に出ました――。


「ねえ、リョーコ……」


電話越しに、カレンちゃんの涙交じりの声が聞こえてきます。


「どうしたの、カレンちゃん……」

「リョーコ、あたし、こわいの……」

「…………?」

「いま、あたしの後ろに、アミダさまがいる気がするの……」


学校からの帰り道、私は背後に何者かの気配を感じていました。

それが、まさか、カレンちゃんにまで……。


「カレンちゃん、大丈夫よ……。アミダさまなんて、ただの都市伝説だもの。アミダさまなんて、ホントにいるはずないよ……」


私はカレンちゃんに説き伏せるように言いました。

でも、本当に説き伏せたかったのは私自身だったのかもしれません。


「でも……、でも……、アオイはいなくなっちゃったんだよ……」

「しっかりして。アミダさまのせいだなんて決まってないよ。何かの事件に巻き込まれただけかも。……ううん、ちょっと家出してるだけかもしれないんだから」

「ねえ、リョーコ……」


そう言うカレンちゃんの声は震えていました。


「ねえ、リョーコ、知ってる……? アミダさまってね、悪い子からゴクラクに連れて行っちゃうんだよ……」