「それでカレンちゃんはなんて言ってたんですか?」

「……それがだねえ。どうも彼女、何か隠し事をしてる様子でね。キミたちなら何か知ってるかな、と思って聞いてみたんだけど」


秋葉原刑事は懐から名刺を取り出すと、


「もしさ。何か思い出したら、いつでもココに電話してよ」


といって、私たちの手に握らせました。

私たちとしても、親友の助けになるなら協力を惜しむ気はありません。

力強くうなづくと、秋葉原刑事もにっこり笑って、「じゃあ」といって離れようとしました。

ですが、その時――、

刑事さんは不意に振り返ると、


「そういえばさ、キミたち――」


刑事さんは、ニヤッと笑って――、


「キミたち、こないだ阿弥陀様の話をしたんだってね?」


……ギョッとしました。


どうして、刑事さんが……

アミダさまのことを知って……。


――心臓が、バクバクと高鳴ります。

何かとてつもなく不吉なものが、私たちにべっとりとまとわりついたような、

そんな言いようのない不安に駆られたのです――。


ですが、刑事さんは私たちの様子を見ると、慌てて作り笑いを浮かべ、


「いやははは、そんなびっくりしないでよ。今朝、カレンさんから聞いただけなんですから。いや、私ね、実は以前、浄土真宗の坊主やってたんですよ。今はいろいろあって刑事やってるけど。で、これはその時の名残」


といって、ハゲ頭をつるんと撫でます。

ジョードシンシュー?ってのは良く分からなかったけど、とにかく、刑事さんが元坊主だってことは分かりました。


「ははは、まさかキミたちみたいな若い子が阿弥陀様の話を知ってるとは思わなくてね。ま、それだけなんだ。じゃあね」