イロナの占いの腕は確かで的中率が高く、占って欲しいと人が殺到するのを防ぐべく、正体を隠したり商会を通すなど色々制限を設けていたのだが、それでも希望者が殺到し、一年の順番待ちだったという。
しかし、そんなに人気がある占術師で、商会の経営も好調だったモルガン一家はクロンクヴィストへの移住を突然決めた。
その理由は、言わずもがなイロナの占いが、モルガン一家をそう導いたからだ。
そしてイロナからその話を聞いた時、話の流れでティナの未来を占うことになったのだが、何故か占うことが出来なかった。こんなことはイロナも初めてだと言う。
「……もしかして、ティナちゃんの運命値が高すぎるのかもしれないわね」
「運命値?」
「私が勝手にそう呼んでるだけなんだけど、簡単に言うと運命値が高い人は、人々に称賛される人生を送る人が多いの。例えば救国の英雄とか、偉大な発明をした魔道士とか」
ティナはイロナの話を聞いてドキッとする。今はもう剥奪された称号とは言え、人々から崇め奉られる立場だったのだ。運命値が高いというイロナの言葉に思わず納得してしまう。



