クリスティナが学院に通い出した途端、生徒の関心はほぼ全て彼女に集中した。以前はアンネマリーに向けられていた羨望の眼差しも、今はクリスティナのものとなってしまった。
始めはアンネマリーも美しい上に才能があるクリスティナが羨ましかった。自分が欲するモノ全てを持った彼女が。
でもそれだけならまだ生まれ持ったものだから、と諦めもついた。しかし王子の婚約者の座まで手に入れたクリスティナに、アンネマリーの心は羨望から嫉妬へ、更に憎しみへと変化していく。
(卑しい身分のくせに! 私より恵まれているなんて許せない──!!)
そしてアンネマリーはクリスティナを陥れるにはどうすれば良いか考えた。
だが、クリスティナは模範生で、糾弾できるようなネタは一切見付からなかったのだ。
アンネマリーがクリスティナと街のゴロツキっぽい男たちが親しそうにしている場面を目撃したのは僥倖だった。
これでクリスティナを聖女の座から引きずり落ろせると、アンネマリーは思い立つ。
しかしアンネマリーはあまりにも無知過ぎた。
<聖女>はただの称号ではなく、神に愛された娘だと、本当の意味で理解していなかったのだ。
──そうして、アンネマリーは幸せな未来を想像して恍惚とする。己の欲望を満たすための代償が、どれほど大きいのか気付かないまま。
始めはアンネマリーも美しい上に才能があるクリスティナが羨ましかった。自分が欲するモノ全てを持った彼女が。
でもそれだけならまだ生まれ持ったものだから、と諦めもついた。しかし王子の婚約者の座まで手に入れたクリスティナに、アンネマリーの心は羨望から嫉妬へ、更に憎しみへと変化していく。
(卑しい身分のくせに! 私より恵まれているなんて許せない──!!)
そしてアンネマリーはクリスティナを陥れるにはどうすれば良いか考えた。
だが、クリスティナは模範生で、糾弾できるようなネタは一切見付からなかったのだ。
アンネマリーがクリスティナと街のゴロツキっぽい男たちが親しそうにしている場面を目撃したのは僥倖だった。
これでクリスティナを聖女の座から引きずり落ろせると、アンネマリーは思い立つ。
しかしアンネマリーはあまりにも無知過ぎた。
<聖女>はただの称号ではなく、神に愛された娘だと、本当の意味で理解していなかったのだ。
──そうして、アンネマリーは幸せな未来を想像して恍惚とする。己の欲望を満たすための代償が、どれほど大きいのか気付かないまま。



