月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 フレードリクにも少しの罪悪感があったらしく、クリスティナからの報復を恐れたものの、本人から何もしないと言われて安堵する。

「……そうか。父上や大神殿には私が伝えておこう」

「よろしくお願いいたしますわ。では、私はこれで」

 クリスティナはフレードリクに挨拶をすると、颯爽とブレンドレル魔法学院を去っていった。

 ──そうして、今回の婚約破棄騒動を最後に、<稀代の聖女>と称された王妃候補、クリスティナ・ダールグレンは姿を消したのだった。