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冒険者ギルドでベルトルドや顔見知りの冒険者達に束の間の別れを告げた後、ティナとトールは王都の外れにある城壁へと向かう。
セーデルルンド王国には王都をぐるっと囲む城壁があり、四箇所の門が設置されている。
ティナ達が向かっているのは、隣国クロンクヴィストへ続く街道がある東側の門だ。
どうせクロンクヴィスト国へ行くのなら、護衛を兼ねて行くのが効率的だと、ベルトルドが依頼を斡旋したらしい。
いつの間に手を回したのだろうかと、ティナはベルトルドの手腕にいつも驚きっぱなしだ。
「ギルド長は本当にティナを大事に想っているんだな」
トールが不意に、ポロッと零すように呟いた。
「えっ?」
ティナがトールの顔を見ると、何となく拗ねているような雰囲気を感じ取る。トールにしては珍しい反応だ。
「ま、まあ、私が生まれる前から付き合いがあるからね。私にとってはもう一人のお父さんって感じかな」
「そうか。ティナもギルド長のことをすごく信頼しているんだな……羨ましいよ。俺もそれぐらいティナに想って貰いたい」
「うぇっ?! も、もちろんトールのことは信頼しているよ! じゃなきゃ、こうして護衛を頼んだりしないって!」



