ティナはトールが剣を持っている姿を想像する。長身でスタイルが良いトールにはツヴァイハンダーが似合うかもしれない。
 ちなみにツヴァイハンダーとは、ロングソードより更に長い剣で、重量もあるので腰ではなく背中に背負って持ち運ぶ。長剣を背負ったトールの姿はさぞや格好良いだろう。

「武器屋に気に入ったものがあればいいけどね。ティナはどうする?」

「そうだなぁ。私はいつも魔法を使っていたんだけど……この機会に護身用の武器でも新調しようかな」

 二人が装備について話し合っていると、受付の職員に声を掛けられた。ギルド長が呼んでいるから執務室へ行って欲しいのだそうだ。
 ベルトルドに出発の挨拶をしたかったティナは丁度良かったと、トールと一緒に執務室へ向かう。

「ギルド長、ティナとトールが参りました」

「どうぞ入って」

 ティナとトールは「失礼します」と声を掛け執務室の中に入る。

「ご苦労さま。出発前にすまないね。君達を呼んだのは渡したいものがあるからなんだ」

 ベルトルドはそう言うと、ティナ達の前に鞄を置いた。
 その鞄は冒険者達が使っている物と似ていたが、それよりも良い材質で作られているように見えた。