月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 ティナはお皿に料理をてんこ盛りにしてアウルムに渡した。どれもアウルムの好物ばかりだ。

『おいしいー! ティナおいしいよー!』

 すっかり元通り元気になったアウルムが、ティナの料理を美味しそうに食べている。

 そうしているうちに、夜はどんどん深まって、月の光も一層強くなっていく。

《あ! ルーアシェイア様だわ!》

《ルーアシェイア様がおいでになるわ!》

《久しぶりに起きられたのね!》

 ルーアシェイアの気配を感じ取ったらしい精霊たちが、一斉に湖へと集まった。

 湖面には大きな月が映り込んでいて、まるで二つの月が浮かんでいるように見える。

「ふわぁああ……っ!!」

 湖面に映った月の光が大きくなり、どんどん輝きを増していった。以前見た時とは比べ物にならないほど光が大きくなっていく。

 ティナは目の前で繰り広げられる光の乱舞に感動した。今日何度目の感動なのかわからない。
 きっとこんなに深く感動したのは、ティナの人生において初めてかもしれない。