月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。


「あっ! アウルム!」

『…………』

 精霊たちに盛大にもみくちゃにされながら、アウルムは全てを諦めたような目をしている。

「ちょ、ちょっと! 精霊さんたち落ち着いて!!」

 慌てて駆けつけたティナがアウルムを抱き上げると、精霊たちはすごく残念そうに言った。

《あら、もう終わり?》

《この子、すっごく気持ちいい毛並みね!》

《もっと撫でたいわ!》

「ごめんなさい、アウルムが疲れているみたいなので、今日は休ませてあげてください。あ、とりあえず料理を食べませんか? みんなのために頑張って作ったんですよ!」

《あっ! そうだったわ!》

《ずっと食べてみたかったのよ!》

《早く食べましょう!》

 ティナは精霊たちの興味を、見事アウルムから逸らすことに成功した。