月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。


 そして精霊たちが放つ光が湖を照らし、幻想的な光景を作り出す。

「綺麗……っ!」

 ティナはあまりの美しさと、待ちに待った瞬間を迎え、喜びで胸がいっぱいになる。

「……すごいっ!! すごいよっ!! みんな力が戻ったんだね!!」

 月を司る大精霊、ルーアシェイアの力が最大となる満月の光を浴びたからだろう、精霊たちはキラキラと光の粒子を放ちながら、代わる代わるティナの周りを飛び回っている。
 言葉は発していないが、ティナに挨拶をしていることはよくわかった。

「ふふっ、みんな可愛い……っ!! 挨拶してくれて有難うね!」

 精霊たちから伝わってくる優しさに、ティナの胸はポカポカと温かくなる。

「あれ? そういえばアウルムが……」

 精霊たちに夢中になっていたティナは、ふと、アウルムが静かなことに気がついた。
 アウルムはどこだろう、と見渡せば、子供の姿になった三人の精霊たちが何やら騒いでいる。

《きゃー! もふもふよー!!》

《すごいわっ!! ふわっふわよっ!!》

《くせになるわね!!》

 ティナが精霊たちの方を見てみると、アウルムがもみくちゃにされていた。