月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。


 大神官オスカリウスは、アンネマリーが付けている腕輪に腕を伸ばす。
 そして魔石の状態を確認し、魔力が満たされていることを確認すると、呪文を唱え始めた。

 オスカリウスが呪文を唱え終わると、腕輪が”カチリ”と外れ、オスカリウスの手の中に落ちる。

 幸い、腕輪の魔力は規定値に達していた。そのほとんどがティナの魔力であるが、それでもアンネマリーも一応役目を果たしたことになる。

 本来なら、腕輪を祭壇に捧げるのは聖女の役目だが、これ以上アンネマリーを酷使すると、本当に生命の危機に瀕してしまうだろう。
 オスカリウスは神官にアンネマリーを休ませるように伝えると、聖霊降臨祭の開始を告げた。

「これより最後の聖霊降臨祭を執り行う。神官たちは前へ」

 聖女不在の今、神に祈るのは神官たちの役目となった。
 結界を発動させる術式に必要な神聖力も膨大なため、大神殿中の神官をかき集める事態となったのだ。