月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。





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 大聖堂に運び込まれた聖女──アンネマリーは息も絶え絶えで、生きているのが不思議なほどだった。

 彼女は<聖女の腕輪>を身につけた日から、常に腕輪の魔石に魔力を吸収され続けていた。
 アンネマリー自身、魔力は多いと自負していたのだが、予想よりもはるかに魔力の消費が多く、供給が追いついていない状態であった。

 もし、正式な手順を踏んで腕輪を継承していたなら、状況は変わっていたかもしれない。
 しかしアンネマリーはティナを貶め、その座を奪うことに頭がいっぱいで、その先に待つ困難も、フレードリクがその権力でどうにかしてくれる、と思っていた。
 そんな邪心を持った者が聖女の腕輪を身につけたからなのか、腕輪は大神官の予想よりも多くの魔力をアンネマリーから奪っているのだ。

 それはまるで、ティナから聖女の地位を奪おうとしたアンネマリーから、若さや美貌を奪おうとする腕輪の意志──もしくは、愛し子を貶められた神からの罰のようであった。