「……今回は随分たくさんの神官がいるな」
「いつもは10人ぐらいだよな?」
「大神殿中の神官が集まってるみたいだな」
「それだけこの聖霊降臨祭が重要ってことだろ」
大聖堂へ向かう行列を民衆が見守る中、歓声が徐々に止み、今度は周りから戸惑う声が聞こえ始めた。
「……お、おい……っ。なんか変じゃねぇか?」
「どうしたのかしら……。あのベールを被っている人って聖女様よね?」
「ああ、いつもはあの位置にクリスティナ様がいらしたからな。彼の方が新しい聖女様なんだろうが……」
人々の不安がどんどん大きくなっていく。何故なら、聖女らしき人物の歩みが徐々に遅くなっていき、さらにふらふらと足元がおぼつかなくなって来たからだ。
「おいおい、大丈夫なのか?! 今にも倒れそうだぞ!」
「もしかして病気なんじゃ……?!」
「え、でも病気なら大神官様が治癒してくださるんじゃ?」
そうこうしている内に、聖女らしき人物はついに転倒してしまう。その拍子に被っていたベールが脱げ落ち、聖女の姿を曝け出す。
「────…………?!」
一抹の静寂が流れた後、人々の驚く声が大神殿中に響き渡った。
「えええええぇっ?!」
「え、嘘だろ……っ?!」
「ちょ、ちょっと待てよ!! あの老女?が聖女様だって?!」
「一体どういうことなのっ!!」
「聖女様……? あれが……?」
「どうして老年の女性がそこにいるんだ?!」
人々が驚くのも無理はなかった。
過去、高齢の聖女は存在していたし、実際他国にいる聖女も高齢だという噂だ。
しかし、今人々の目の前にいる聖女は月日を経て歳をとった老女とは違う、異質な姿をしていたのだ。



