そんなことはここ五十年以上起こっておらず、王宮の文官や大神殿の神官たちも原因を究明するために奔走しているという。
人々の期待と不安が入り混じる中、聖霊降臨祭の始まりを知らせる鐘が、大神殿中に響き渡る。
「おっ! 始まるぞ!」
「新しい聖女様はどんな方だろうな!」
「噂によると、貴族のご令嬢らしいぜ?」
「へぇ! 貴族のご令嬢がねぇ! それは殊勝な心がけだ!」
新しい聖女に対して、さまざまな憶測が飛び交う中、大神官が姿を現した。
その後ろから、まるで姿を隠すように身体を長いベールで覆った人物が付いてくる。
細かい模様が編まれている絨毯の上を、大神官と聖女らしき人物、その次に神官たちが列をなして歩く。
これから大神官たちは大聖堂に入り、中にある結界を維持するための大魔法陣に神聖力を注ぐ儀式を行うのだ。
ちなみに大聖堂の中に入れるのは神官と王族だけだ。
中でどんな儀式が行われるのか、詳しいことは民衆にはわからない。しかし儀式が終わると、大聖堂から光の柱が立ち上り、結界の光が王都中を包み込むという。
その光景は幻想的で、誰もが神の存在を固く信じ、無神論者でも信仰を胸に抱くほどだ。



