月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。


「これはこの小屋に転移出来る魔道具じゃ。転移の術式と座標を刻んどるでな。魔石に魔力を流せば発動するからの。これを持って行くがええ」

「えっ?! そんな魔道具が存在するんですか?!」

「うむ。この森の中では転移魔法は使えんからの。ワシが研究がてら作ってみたんじゃよ」

 <迷いの森>と呼ばれるように、この森の中では飛行や転移など一切の移動魔法が使えない。精霊王の結界が原因のようだが、ノアはその結界を無効化する方法を持っているということになる。
 小屋と近くの街を繋ぐ転移陣は固定座標なのでそう難しくないらしい。しかしトールたちのように移動する場合、特殊な術式が必要なため、製作はかなり難しくなる。

「こんな貴重なものをいただいて良いんですか?」

 ノアから手渡されたメダル型魔道具には、緻密な術式がびっしりと書き込まれている。この術式を解析出来れば、世界の魔道具事情が変わるかもしれない。