月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

「んん〜〜? 変わっちょると思っとったが、よく見るとその精霊は普通の生まれ方ではないようじゃな。うーむ。これは興味深いのう……ちょっと調べさせてくれんか?」

《えっ!? むっ、無理!! 無理無理無理ぃーーーーっ!!》

「すみません、それはちょっと……。本人も嫌がってますんで……」

「ふぉっふぉっふぉ。冗談じゃよ。ワシもこれ以上精霊に嫌われとうないでな」

《え〜? 本当かなぁ……。さっきの目は本気だったよ……!》

「それにしてもノアさんはそんなことまでわかるんですか? すごいですね!」

 怯えるルシオラをヨシヨシしながら、トールはノアの観察力を賞賛する。
 魔力の波長を視覚として認識しているのか……ノアの潜在能力は計り知れないな、とトールは思う。

「そうか? 嬢ちゃんと一緒で坊ちゃんも褒め上手じゃのう! ふぉっふぉっふぉ!」

 褒められたノアは嬉しさでくねくねしている。褒められるとくねくねするのは彼の癖なのかもしれない。