月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

「わかりました! ほら、アウルム行こう!」

『はーい!』

 ティナたちは昨日よりもさらに明るく光る湖面の上を歩いていく。
 毎日歩いているが、その日によって景色は変化していて、全く見飽きることがない。

 それからしばらく歩くと、月の光に照らされた精霊樹が見えて来た。
 淡く輝く精霊樹から、ティナたちを歓迎し、温かく迎え入れている──そんな意思のようなものが伝わってくる。

《精霊樹が喜んでいるわ!》

《元気になって嬉しいのね!》

《私たちを待ってくれていたみたいだわ!》

 精霊たちが精霊樹の気持ちを教えてくれた。元気になって喜んでいる様子が伝わって来て、ティナも嬉しくなる。

「じゃあ、今日もよろしくお願いしますね」

 ティナは精霊樹にそう言うと、幹に手を置いた。そうして、意識を集中させ精霊樹に神聖力を注いでいく。

『僕もよろしくねー』

 ティナの真似をしたアウルムも精霊樹に声をかけ、魔力を注いでいる。

《何だか二人ともさらに魔力量が増えた気がするわ》

《そうよね。初めの頃より随分増えていると思う》

《毎日限界まで力を注いだ結果かしら》