月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 ティナは月を眺めながらこれからのことを考える。

 もし、三日後の満月でルーアシェイアが目覚め、彼女と話せるのなら、月下草のことを質問しよう。そして一刻も早く月下草の栽培を始めたい。
 そうすればきっと、胸を張ってトールに会いに行ける──その想いはもうすでに、ティナの原動力になっている。

 たくさんの期待と少しの不安を胸に抱きながら、ティナはずっとトールとの再会を夢見ているのだ。

 アウルムや精霊たちがそばにいてくれるから、ティナの周りはいつも賑やかだ。だけど、ふとした瞬間トールの顔が浮かんでは、頭から離れず困ってしまう。

 何度も自分に言い聞かせ、トールを諦めようとしているものの、今だにティナはトールを想い続けている。
 その想いは、どうすればトールを諦められるのか、誰かに教えて欲しいと願ってしまうほどだ。

《そろそろ精霊樹の様子を見に行かなきゃ》

《日に日に輝きが増しているわよね》

《きっと精霊樹が私たちを待っているわ》

 精霊たちの言葉を聞いて、ティナはハッと我に帰る。
 トールのことは隅に置いて、今は精霊樹の回復に集中だ。