月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 こうして、精霊たちや精霊樹が元気になっていく様子を見て、ティナ自身とても嬉しく思っている。
 しかし、いまいちティナの気分は晴れていない。

「ルーアシェイア様、今日は会えるかな……」

 ティナが寂しそうに呟いた。
 何故なら、ティナがルーアシェイアに会えたのは一回だけで、それ以降ルーアシェイアは姿を現していないのだ。

《こんなに起きてこないのは珍しいわね》

《でもルーアシェイア様の聖気は落ち着いているから、心配はいらないわ》

《もうすぐ満月だから、もう少し待ってみましょ》

 正直、ティナはあの時ルーアシェイアに月下草のことを詳しく聞いてみたかった。しかし今は、ルーアシェイアの力が戻るまで待つつもりでいる。
 それに満月になれば、何かしらの情報が手に入るかも、という予感もあった。

 ティナは本人の姿を見ないと心配になるタイプだ。だけど精霊たちが問題ないと言ってくれるから、その言葉を信じようと思う。

「……そうですよね。もうすぐ満月になるし、きっと姿を見せてくれますよね」

 空を見上げると、月はかなり満ちていた。後三日ほどで満月になるだろう。