セーデルルンド王国で行われる聖霊降臨祭でも、毎回同じように魔力が抜かれていたのだ。それに比べればまだ神聖力に余裕はある。

 ──何より、精霊樹を助けたいという想いが、ティナを突き動かしているのだ。

《す、すごい……!》

《人の子でここまで神聖力を持っているなんて!》

《エーレンフリートでもここまでしゃなかったわ!》

 精霊たちが感嘆の声を上げる中、ティナは神聖力を注ぎ続けた。すると、力の流れがゆっくりになる感覚に気がついた。

(あ……! アウルム……!)

 ふと下を見ると、アウルムの身体から魔力が精霊樹に流れていく光景が見えた。アウルムも先ほどの言葉通り、手伝ってくれているのだ。

《フローズヴィトニルの子も頑張ってくれているわ!》

《この子もすごく魔力が多いのね!》

《彼女とよく似た波長ね》

 ティナとアウルムが協力しながら力を流し込んでいると、突然繋がっていた(パス)が切断された。

「えっ……どうして……」

 流していた神聖力の供給が断ち切られたような感覚に、ティナは戸惑ってしまう。