月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 何となく制約が多いのでは、と思っていたのは考え過ぎだったらしい。予想以上に精霊たちは好奇心旺盛で気さくなようだ。

「有難うございます! お言葉に甘えさせていただきます!」

 善は急げと、ティナはささっと行動することにした。

「アウルム、ちょっと待っててね」

 ティナは魔法鞄から道具を出すとテキパキと組み立てる。薪に火をつけ湯を沸かしながら野菜を切り、その間にアウルム用の肉を焼いていく。

 それからしばらくして、ティナは完成した野菜スープと程よく焼けた肉にパンを添えてアウルムに出してあげた。

 ティナは焼いた肉を薄切りにすると、野菜と一緒にパンに挟んでサンドイッチを作る。

『おいしいー! ティナありがとー!』

「ふふ、アウルムも有難うね。ずっと走ってくれて。晩御飯はアウルムが好きなものを作るからね」

『ほんとー? でも僕、ティナの料理はどれも好きなのねー!』

 ティナとアウルムは仲睦まじそうに料理を食べている。その姿は微笑ましく、見る者の心をほっこりとさせてくれる。