月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 森の中に入ってから、以前より元気になったルシオラは、蛍のような大きさからひと回り大きくなっていた。
 まるで森から生命力のような不思議な力を受けているようだ、とトールは思う。

 そして今、満月の光を浴びたルシオラはさらに光り輝いている。

 トールが幻想的な光景を眺めていると、ルシオラの光がさらに強くなっていった。

「えっ?! ルシオラ?!」

 今までにない強い光にトールが驚いていると、大きく膨れ上がっていた光が弾けた。あまりの眩しい光にトールの視界が真っ白に染まる。

 一体何が起こっているのか、トールがそっと目を開けると、そこには燐光を纏った小さい女の子がいた。

《トール! わたし力が戻ったよ!》

 ルシオラはくるぶしまである長い青色の髪の、可愛らしい少女の姿になっていた。見た目は十歳ぐらいに見える。

 しかし実際の大きさは手のひらサイズで、全体的に光でぼやけており、一目で人間じゃないことがわかる。

「ルシオラ……! それが本当の姿なのか?」

 まさか精霊が人間に似た姿になるとは思わなかった。しかもイメージではなく会話が出来ている。