月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 だからアウルムは精霊が見えたし、不思議な力を持っていたのだ。

「そっかー。アウルムは精霊さんたちの仲間だったんだ」

 ティナはアウルムの頭をよしよしと撫でる。精霊の仲間といっても、アウルムはちゃんと身体があるし、もふもふだ。

《フローズヴィトニルの子はアウルムって名前なのね。人間に懐くなんて珍しいわ》

《とても可愛い子ね。それに大人しいわ》

 精霊たちはティナやアウルムに興味津々だ。久しぶりのお客様と言っていたし、ここに辿り着く人間もそういないだろうから、珍しいのかもしれない。

「あの、お聞きしたいんですけど、私精霊さんに祝福されるようなことはしていないのに、どうして祝福されたのでしょう?」

 ティナはずっと疑問に思っていたことを質問した。
 精霊が見えず、会うことも叶わなかったのに、いつの間に祝福を受けていたのか、全く心当たりがなかったからだ。

《あら、おかしいわね。あなたの近くにわたしたちの仲間がいたはずよ》

《わたしたちは気に入った人間に祝福をあげるのよ》

《でも、あなたが持つ祝福は”感謝”と”友愛”ね》

《とてもあなたに感謝しているわ》